悩みごとの多い社会で眠り病から生まれた睡眠導入剤

ストレスの多い現代社会で生活をしているとその精神的なキャパシティを越えてしまった際に様々な精神障害を受けてしまう場合があります。その典型的なものとして挙げられるのが睡眠障害であり、鬱病と並んでかなりの割合の人が程度の差こそあれ経験することが多い病気となっています。悩みごとがあって眠れないというのも軽度の睡眠障害であり、その悩みごとが大きなものになったり、深刻に考えすぎるようになったりしてしまうと睡眠障害が病的になってついには病院で治療を行わなければならなくなってしまうことになる可能性があるのです。
睡眠障害に対して基本的に処方されるのは睡眠導入剤であり、ベンゾジアゼピン系の睡眠導入剤を用いるのが一般的でした。しかし、それ以前に使われていた睡眠導入剤に比べると副作用が少ないとは言われるものの、患者からすればストレスともなる持ち越し効果や前向性健忘などの副作用が比較的多く見られるという欠点があります。そのため、非ベンゾジアゼピン系の薬剤の開発が進められてきています。その中で、眠り病の一つであるナルコレプシーのメカニズムの解明から導きだされた睡眠導入剤があります。眠り病と言われるナルコレプシーは昼間に堪え難い睡魔に追われてしまう病気であり、その原因として覚醒状態を維持できないためであるという考えが認知を得ました。眠り病に関わっている物質としてオレキシンが注目されるようになり、その減少が覚醒を維持できなくなるということがわかりました。そこで、オレキシン受容体を阻害する薬を開発することによって睡眠導入剤として医薬品になっています。悩みごとが多く精神障害を受けてしまいやすい世の中での救済となる医薬品がまた一つ増えたのです。